徳川時代のお家騒動を見ると、いつも正妻派と側室派が世継をめぐって争うと相場が決まっている。
どちらもその立場からみれば「正義のため」の戦争であり、派閥の権力をめぐる死闘である。
これまで権力の側にいた人間は何がなんでも、その既得権を守りたい。
このような人間の本性があるなかで、会社の機構改革を進めるのは並大抵のことではない。
組織はいじってもいいが、人の問題だけは急いではいけないゆえんである。
人は頭と心と体が納得しなければ動かないハイテクが進めば進むほど、ヒューマンーウエアは大事になってくる。
アメリカのビジネスーエリートがよく陥る落とし穴に、ハイテクを重視するあまりハイタッチに欠けるということがある。
アメリカは日本にハイテクで負けたのではない。
ハイテク自体はアメリカの方がまだまだ強い。
アメリカが日本企業に経済的に負けたのは、ハイタッチで負けたのだ。
アメリカにはハイテク過信があった。
アメリカの企業経営者やビジネスーエリートは、パソコンが流行ったら部屋に閉じこもり、部屋から現場へ指示を出す。
また、アメリカの労働者は働かない(少なくともビジネスーエリートはそう考えている)から、ロボットを導入する。
ロボットを導入すると労働者自身の知的能力ややる気をもっと上げていかなくてはいけない。
そうすればさらにロボットの導入効果が高まる。
ハイテクになれば、情報はパソコンで流れていくが、人は頭で納得しても、体と心では納得していない。
人間というのは、頭と心と体が一体になって動かないと、能力が発揮されない。
だからこそ、ハイテク時代になればなるほど、経営者と管理職は現場の労働者や第1線の営業マンのところへ行って、「ご苦労さん」と肩をたたき心のこもる対話をかわさないと、相互のコミュニケーションはうまくいかない。
こうしたハイタッチの部分がますます要求されるが、ここは知的能力だけを鍛え過ぎているエグゼクティブのいちばん弱いところでもある。
人間の全体像を把握するのは、知識ではなく感性である。
豚もおだてりゃ木に登るまた、仮に自分が部下だとしたら、どういう上司に仕えやすいかをつねに考えていくことが大切だ。
単に部下のことを思うのではなく、逆に自分が部下だったとすれば自分は果たしていい上司か、好かれる上司かを考えてみればいちばんよくわかる。
司馬遼太郎氏が、どこかで、信長と秀吉と家康がいて、その3人のうちの誰に仕えたいかといえば、天下を取るまでの秀吉がいちばんいいといっていた。
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